
こんにちは。エンジニアデータバンク です。
近年、ソフトウェア開発の現場で注目を集めているのが「ノーコード」および「ローコード」という開発手法です。
すべてをプログラミング言語で開発する「フルスクラッチ開発」と比較すると、プログラミングスキルが不要、または最低限で済むことが多いです。そのため、これらの手法は、エンジニアだけでなく非エンジニアの業務効率化にも大きな可能性があるとされています。
株式会社デージーネットが実施した調査によると、企業の約34%が「何かしらのノーコード・ローコードツールを導入している」と答えています。

このように、プログラミング言語に頼らない「ノーコード」の導入が今後も増えていくことが予想されます。
本記事では、ノーコードとローコードの基本的な概念を解説し、代表的なツールやエンジニアに与える影響について詳しく見ていきます。
それでは解説していきます。
まずは、ノーコードとローコードの基本的な知識から解説します。
ノーコードは、文字通りプログラミングコードを一切書かずにアプリケーションやソフトウェアを開発する手法を指します。
ユーザーインターフェース(UI)が用意されており、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で機能やデザインを作り上げることができます。
そのため、プログラミング言語の知識がなくても業務アプリやモバイルアプリといった専用アプリを構築できます。
メリット
ノーコードには、以下のようなメリットが存在します。
デメリット
メリットが存在する一方で、ノーコードには以下のようなデメリットが存在します。
ローコードは、ノーコードと通常のシステム開発の中間のような存在で、最低限のプログラミングで開発を進める手法です。
開発の大半をノーコードで実施し、必要な部分をプログラミング言語を用いてカスタマイズします。
ノーコードよりも柔軟性が高く、カスタマイズが求められる場合に適しています。特定の部分ではコードを書く必要があるものの、基本的にはビジュアルベースの開発環境を利用するため、高速開発に向いています。
メリット
ローコードには、以下のようなメリットが存在します。
デメリット
一方で、ローコードには以下のようなデメリットが存在します。
ローコード同様、プラットフォーム専用のカスタマイズが必要であるため移行性が低い。
ノーコードが流行している背景には、以下のような理由が存在します。
世界中の企業が業務のデジタル化を進めており、非エンジニアでもある程度のデジタルスキルが求められています。
そのため、プログラミング言語の開発経験のないような非エンジニア職が手軽にシステムやアプリを構築できるノーコードツールの需要が高まっています。
迅速な市場投入の必要性
DXの推進に伴い、ソフトウェアの市場投入スピードが格段に上がっています。
これまでは数年かけて開発するのが通常でしたが、長くて1年、短いと1カ月程度でリリースすることが求められるようになりました。それに伴い、高速開発が可能なノーコード・ローコードツールに注目があつまりました。
IT人材不足の解消
日本国内でもIT人材の不足が問題となっており、システム開発ができるIT人材が不足し続けています。
そのため、プログラミングスキルがなくても開発が可能なノーコードは、この課題を解決する一助となっており、主に業務アプリ・社内向けアプリのエリアから活用が進んでいます。
コスト削減のメリット
従来のソフトウェア開発に比べて、ノーコードを活用することで開発時に発生するコストが削減されるため、比較的安価に開発が可能です。
費用が少なくて済むノーコード・ローコードツールは中小企業でも導入しやすく、支持されています。
ここからは、特に日本国内でも利用頻度の高いノーコード・ローコード開発ツールを紹介します。
Claris FileMaker
Claris FileMakerは、Apple傘下のClarisが提供するプラットフォームで、データベースを中心とした業務アプリケーションの構築が可能です。
視覚的なインターフェースで簡単に操作でき、柔軟なカスタマイズにも対応しています。特に、販売管理や在庫管理、顧客管理などの業務に向いており、中小企業から大企業まで幅広い業種で活用されています。
Appleの子会社が販売しているソフトウェアですが、MacやiOSだけでなく、Windowsなどのクロスプラットフォーム対応が可能であることも大きな特徴と言えるでしょう。
kintone
kintoneは、サイボウズが提供する業務改善プラットフォームで、TVやWebのCMを見て名前を知っている方も多いのではないでしょうか。
直感的な操作で業務アプリを構築することに特化したサービスで、他のシステムとの連携も容易です。特に、タスク管理、営業支援、問い合わせ管理といった業務に向いており、カスタマイズの自由度が高いことが特徴です。
また、クラウドベースのため、どこからでもアクセス可能で、リモートワーク環境でも力を発揮します。
CELF
CELFは、SCSKが提供するノーコードプラットフォームで、Excelライクなアプリを容易に開発できます。
Excelを使って管理していたような業務を、使用感そのままでWebアプリ化することが可能です。 「これまでExcelで管理していた業務が多い」ということであれば、移行するコストを最小限に抑えたまま業務アプリを開発できます。
また、ノーコードツールであるため、Excelの知識があれば容易にアプリ開発ができるという点も大きなメリットと言えるでしょう。
Magic xpa Application Platform
Magic xpa Application Platformは、エンタープライズ向けのローコードプラットフォームで、高度な業務システムの開発に対応可能なローコードツールです。
柔軟性とスケーラビリティが特徴で、ノーコードでありながらミッションクリティカルな基幹システムへの適用も可能であるとされています。
複雑なワークフローの実現や大規模システムの構築にも対応でき、コードによるカスタマイズも可能であることから、エンタープライズ環境で真価を発揮します。
プリザンター
プリザンターは、インプリムの提供する国産のノーコード・ローコードツールで、業務プロセス管理やデータベース管理が簡単に行えます。
特に中小企業の業務効率化に適しており、経費精算や勤怠管理、プロジェクト管理などの用途で利用されています。日本語対応が充実しており、ローカライズされた機能が中小企業や自治体にも人気です。
SAP
SAPはエンタープライズ向けのERP(統合基幹業務システム)ソリューションとして知られており、世界中で利用されています。
同社のツール群の中にはローコード開発ツール「SAP Business Technology Platform」が存在しており、SAPのデータをノーコード・ローコードを利用してカスタマイズできます。
SaaSとしてのERP機能とローコードによるカスタマイズを活用することで、大規模なビジネスプロセスの自動化や高度なデータ分析機能が実現できます。
SAPは特に製造業や金融業における導入実績が豊富であり、開発案件が多く募集されていることも特徴です。
Salesforce CRM
CRM(顧客関係管理)ツールとして有名なSalesforceは、ノーコードおよびローコードの開発機能も提供しています。
営業支援、マーケティングオートメーション、カスタマーサポートなど幅広い業務で利用され、エンタープライズから中小企業まで幅広く活用されています。特に、ドラッグ&ドロップでカスタマイズ可能な「Salesforce Lightning」が特徴です。
そのほか、Apexによるプログラミングもサポートされているため、ローコードの域を超えた開発プラットフォーム(PaaS)としての機能が豊富であるため、1つの業務アプリをほぼスクラッチでSalesforce上に構築する開発案件も多く存在します。
PowerPlatform
Power Platformは、Power Apps、Power Automate、Power BIなどを含むマイクロソフトのローコードプラットフォームです。 簡単な業務アプリから複雑なワークフローまで幅広く対応し、Microsoft 365やAzureとの親和性が高い点が魅力です。
特にデータ分析や業務の自動化に強みを持っており、SharePointやOneDrive、ExcelといったOffice製品と容易に組み合わせることが可能です。
Microsoft 365 E5などの大企業向けプランの場合追加料金なしに利用可能であり、下位プランでも一部機能を利用できます。そのため、最も容易に利用開始できるローコード・ノーコードプラットフォームとも言えるでしょう。
ノーコード・ローコードツールの活用により、従来の開発工程が大幅に簡略化されます。特に、初期段階のプロトタイプ作成や単純な機能追加の工数が削減されるため、エンジニアはより高度な作業に集中できるようになります。
役割の変更
エンジニアの役割も変化しています。従来のコーディング作業から、ノーコード・ローコードツールを活用したシステム設計や統合、保守管理にシフトする傾向が見られます。これにより、エンジニアはツールの活用方法やプラットフォームの理解が求められるようになっています。
ローコード・ノーコードの普及に伴い、「ローコードエンジニア」という職種が登場しました。ローコードエンジニアとは、通常のフロントエンド・バックエンドエンジニアとどう違うのでしょうか。
ローコードエンジニアは、ローコードツールを利用してアプリケーションやシステムを構築する専門家です。
導入するローコードツールの特性を理解したうえで、業務要件を分析し、適切なツールを選定して開発を進めるほか、必要に応じてコードを書いてカスタマイズも行います。
そのため、一般的なシステム開発で言うところの上流工程が主な仕事と言えます。
特に、業務要件を聞いた際に、その機能は「ノーコードで実現できるのか、それともプログラミングする必要があるのか」ということを判断する必要があるため、ローコードエンジニアとして活躍するためには、そのツールが「何ができて何ができないのか」ということを深く理解する必要があります。
ローコードエンジニアの年収は地域や経験により異なりますが、一般的には従来のエンジニア職と同等以上の報酬が期待できます。
特に、企業がデジタル化を進める中で需要が高まっており、収入面での成長も見込まれます。特に、業務要件を整理し、設計に落とし込むための上流スキルがあれば、高い年収を狙えることでしょう。
また、ローコードツールは定期的にバージョンアップされることが多く、その際に仕様が変わることも多いです。そのため、常に最新の情報をキャッチアップすることで、より高い年収が望めることでしょう。
ノーコードおよびローコードは、従来の開発手法を補完する新たなアプローチとして注目されています。これらのツールは、開発スピードの向上やコスト削減に寄与し、非エンジニアにも開発の機会を提供します。
一方で、カスタマイズ性やプラットフォーム依存といった課題も存在するため、適切な場面での活用が求められます。
エンジニアにとっては、ノーコード・ローコードツールを活用するスキルの習得が、新たな価値を生む鍵となるでしょう。「非エンジニアでも使える」と言っても、エンジニアの仕事がなくなるわけではありません。
ノーコードで開発するためには「プログラミング的思考力」は必須であり、エンジニアの持つ思考力とノーコード・ローコードを組み合わせることで、より高速な開発が可能となるのです。
業務の効率化を目指す企業や、IT人材不足に対応したい組織にとっても、これらの手法は強力な助けとなることでしょう。プロジェクトの要件や目的に応じて、ノーコード・ローコードを効果的に活用していくことが重要です。
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